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2話
颯介がそう言うと、祐斗はごふっとむせた。むつは、ばしばしと背中を叩いてやっている。
「大した事だぞ‼あ、でも湯野さんの弟さんならもう成人してる年頃か。男だし、家出くらいするだろ?」
「ってより…」
「ゆ、湯野さんお、弟さん居たんですか!?」
「そう、あたしもそっちにびっくりした」
「…うん、実はね。弟が1人…うちも少し特殊な家系でさ。弟とは母親が違うんだ」
「あ、そうなんだ?うちと似てるね」
「そうだね。むっちゃんのお家、玉奥家は特殊な家系みたいだからね。それにお兄さんたちと…」
「うん。うちは両親が全く違うし、あたしは養女だけど…颯介さんの所は?お母さんが違うって事は、お父さんは同じ?」
「あぁ、俺の母親は早くに死んでね。再婚相手との子供が、俺の弟なんだよ」
へぇと言いながら、むつはコーヒーをすすった。大した事じゃないと前置きされていたが、山上の言う通り。大した話だった。




