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11話
行こう、とむつがらせつの手を取って立たせようとすると、らせつがその手を振り払った。
「いっ!!…っうぅ」
顔をしかめたむつは、払われた方の手首を握った。子供に手を振り払われたくらいで、痛みなど感じる程ではないはずだが、むつの顔は痛みを堪えて歪んでいた。
「…むつ?」
「ん、大丈夫大丈夫」
無理矢理といった感じで笑みを浮かべたむつは、ぷらぷらと手を振った。何故、痛みを感じたのかすぐに分かったのは、らせつ意外の面々だった。痛みをまぎらわすかのように、軽く手を握ったり開いたりを繰り返したむつは、うんと頷いた。
「らせつちゃん、むつさんの手…昨日ので少し怪我してるんだよ。俺とらせつちゃんを雪から掘るのに素手だったみたいでさ。むつさん、本当に大丈夫なんですか?」
「動かせるから大丈夫…」
「あんまり大丈夫じゃねぇな。包帯でも巻いとくか?ちっとは痛みもマシかもしれねぇからな」




