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11話
「…むつ、こっちきたら寒くない?」
らせつが気遣うと、むつは大丈夫だと笑った。昨日の外と比べれば、すこし雪があるくらい何ともない。だが、体調が万全とも言えないからか、立ち上がった山上が毛布を持ってきてむつの肩にかけた。
嬉しそうにむつが礼を言うと、らせつが唇を尖らせていた。むつがどうしたのかと、まばたきを繰り返して首を傾げると、らせつがはぁと分かりやすく溜め息を漏らした。
「いいよね、仲良くって。ちちは、らせつにそんな事してくれない。おねぇさんたちも」
「山の神様は…あんまり一緒に過ごしてくれない方なの?おねぇさんたちも?」
「うん。ちちの姿を見る事なんてほとんどない。おねぇさんたちは居るけど、うちとは歳が離れてるから…」




