11話
やかんから白い湯気が立ち始めると、山上は急須にお湯を注いで茶をいれた。ちゃんとらせつの分もいれている。歓迎しているわけではなくとも、仲間はずれにする気もないようだ。
「…むっちゃんと祐斗君には本当に悪かったよ。そんな睨まないでくれるかな?」
「睨んでるつもりはないわよ。ただ、仲間はずれにされたからさ。こっちに来てから何があったの?」
「ごめんよ。こっちに来てから、とにかく凪を探さなきゃと思ったんだけどね。こんな狭い村だっていうのに見付からなくてね…それに、戻ってきてからは雪女たちに追いかけ回されて、逃げ回るはめになったんだよ」
「え…凪君、まだ見付からないの?」
「あぁ、探しても見付からないから、家に戻ってるのかもしれないけど…俺は家には近寄りたくないから…」
「…あたしと祐斗は行ったよ?近くまで。そしたらね、急に窓が開いて女の人が顔を出したの。颯介さんと同い年かその前後くらいの、気の強そうな…あたしからしたら、いけ好かない感じだった」
身内を悪く言うのは申し訳ないけど、とむつが付け足したが颯介は気にしてないとでも言うように、ゆるゆると首を振った。
「俺も、俺もそう思うよ」