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11話
「らせつちゃんが驚いてるわよ。らせつちゃんは姉妹で、こんな風にじゃれあったりしないんだね?」
「しない…だから、びっくりした。どんってされたのに祐斗も怒らないし」
女ばかりだと、やはりお喋りが中心なのだろうか。姉も妹もいないむつには、雪女たちがどう過ごしているのか、想像がつかなかった。
「だって、遊んでるだけだもん。ね?」
「まぁ…そうっすね」
ちょっぴり不満そうな祐斗だったが、怒るほどの事ではないと言っている。こういうじゃれあいが出来る。そういう仲なのだ。くくっと笑うむつと山上がタバコを吸い始めると、祐斗はらせつの方を見て肩をすくめた。
「さて、と…颯介さんからお話しして貰おうかな?連絡するって約束したくせに、してくれないなんて酷い」
自分の事は棚にあげてむつが言うと、颯介は困ったように笑った。颯介が約束を破ったのだ、余程の事があったのではないか。むつはそう思っていた。