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11話
「むつさん、あげてばかりいないで自分が食べないとダメですよ?管狐、おいで。俺があげるから、むつさんに食べさせてやってくれるか?」
祐斗が手招きすると、颯介と凪の管狐はむつから離れて祐斗の膝の上に乗っかり、粥を貰い始めていた。むつはつまらなさそうにしていたが、残りの粥をすすり終えると、最近にしては珍しくおかわりしていた。
「お、むつは食欲あるな」
「うーん…かな?でも社長の手料理なんてさ、次食べれる気がしないもん。食べないと」
「それもそうだね、貴重な機会だから沢山食べておいた方がいいだろうな」
颯介はそう言うと、むつにもっと食べろと進めていた。食べる量が極端に減ったむつをけしかけて食べさせる颯介を見て、山上はどことなくほっとしたような顔をしていた。