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11話
「あっ‼こらっ‼」
凪の管狐が躊躇っている間に、颯介の管狐がぱくぱくと粥を頬張ってしまった。もう、と言いながらもむつはまた粥をすくって冷ました。颯介の管狐を見ていたからか、凪の管狐はむつの手に足をかけて上ると、粥をぺろっと舐めた。まだ熱かったのか、びくっとして下がるとぶるぶると首を振った。
「…ちょっとおバカ」
笑いながら、凪の管狐を撫でてやり冷めた粥を顔の前まで持ってってやると、怖々とだが食べ始めた。
「そうやって、管狐も贅沢になってくんだろうな。俺の管狐もむっちゃんの影響かな?」
「まぁ…仕方ないよ。あ、でも人と同じの食べてて犬みたいに中毒とかならない?ネギ…食べさせちゃってるけど」
「大丈夫じゃないかな?京井さんだって、ネギも玉ねぎも食べると思うし」
犬神である京井の好き嫌いは、そういえば知らないと言ったむつは、じゃあ管狐も大丈夫だねと言っていた。