690/1090
11話
らせつの元に向かうのかと思ったむつだったが、何かを探すように辺りを見回している。目当ての物が見付からないのか、山上に声をかけていた。そして、寝ていた部屋に入り、しばらくしてから戻ってきた。携帯とタバコを手に戻ってきたむつは、らせつの隣に腰掛けた。すると、すかさず山上が何事かを言っていたが、むつは適当な感じで流していた。
「むつも子供?皆に色々言われてる」
「もって事は…らせつちゃんも色々言われるの?おねぇさんとかお父さんから」
「言われる。すぐに言われる」
早くも反抗期なのかな、と首を傾げたむつは持ってきたタバコを加えると火をつけた。煙を吐き出しながら、熱のせいなのか少しくらっとするなと思ったが、顔には出さなかった。