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2話
雪で出前は出来ないと断られ続け、ようやく近所のラーメン屋が歩いて行けるからと請け負ってくれた。だが、届いた頃にはラーメンはぬるくなっていた。
「…レンジでチンしてこよっ‼」
「俺のも」
「だよねっ‼颯介さんと祐斗は?」
「俺もしようかな…ぬるい」
「俺も。湯野さんの貸してください、やってきますから。先に他の食べててくださいね」
「あ、ありがとう。お願いするよ」
むつはぬるいラーメンは嫌だと、電子レンジに器ごと入れると、温め始めた。ちーんっと鳴ると、湯気が出て熱そうなラーメンにむつは満足そうな顔をした。鍋つかみの代わりをタオルでして、山上に持っていった。
「…おまっ…これは、熱すぎねぇか?」
「わがまま言わないの‼」
ぴしゃりと注意をされ、山上は大人しくはいと返事をした。むつは満足そうに頷くと、キッチンの方に入っていった。




