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11話
颯介と山上が来ていなければ、祐斗が助かったかどうか分からない。本当に2人と会えたのは、幸運だったと思えた。
「あぁ…あれは、湯野ちゃんの管狐が知らせてくれたんだ。俺は、3人が山に入ったのを聞いたからな…湯野ちゃんだけは逃すわけにはいかないから、合流したんだ」
「あたしと祐斗はそっちのけで?」
「…まぁな。でも危ないって分かったからな。そこでほっとかなかっただけマシだと思ってくれ」
危険な目に遇っていなければ、いまだに颯介とも山上とも会えなかったのかと思うと、複雑な気持ちだった。
「悪かったって。今度ばかりは、むつよりも勝手をしてるからな」
「あたしより酷いって事は、あたしは2人を責めていいわけね。祐斗に文句言わせようと思ってたけど…あたしも言おっと」
「終わってからにしてくれ」
「勿論よ。それより、今はどうするかよ」
「あの付いてきちまった雪女か?」
「うん…誘拐されたって他の雪女たちが怒るのが目に見えるもん」
「女はこえぇからな」