11話
「いや、そもそも術がかけられてるなら術者じゃないと、その術は解けないだろ。お前はほら…誘拐された時な、何かしらの術がかけられてたみいな事をさらっと言ったけど…あの時はどうしたんだ?」
「あの時は…よく覚えてない。でも、こう…何て言うか…身体の中に火を灯して…あ、腫瘍が出来たのを自分の炎で内側から焼き尽くした感じ?」
「…恐ろしい事をしたんだな。想像しただけで何か腹の辺りがちくちくする」
「気のせいだから。もう…とにかく、さゆきちゃんと凪君探さないと…って、さゆきちゃんは山の神の所?」
「あぁ、雪女たちな…俺らにたかってきた女どもが無理矢理連れて帰ったみたいだがな。また姿を消したそうだ」
「死人が出たって…噂を聞いたよ。社長も行った居酒屋で。こっから1番近いおんぼろビジホのある駅の近くのね」
「…俺が行ったのをどうやって知ったんだ?」
「居酒屋のおっさんから聞いた。胡散臭い雰囲気の男が来て、あたしらみたいに雪女の事とかを聞いてきたって」
「胡散臭いってだけで俺だと決めたのか?そりゃまた酷い話だな」
「地元民じゃない、胡散臭いってなったら社長しか思い付かないの」
「…むつ、思考の範囲が狭いぞ?周りが見えなくなるから、色々な可能性を立てろ」