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11話
ぺたりと山上の隣に、先程よりも近くに座ったむつは、ふうと息をついた。その様子は、どことなく満足げにも見える。
「何だ?」
「うん…やっと皆揃ったから」
「…悪かったな、勝手に出てきて。でも、まさかあそこでお前らに会うとはな…資料館行ってたのは後ろから見たけどな。楽しかったか?」
「本当にもう…楽しいも何も…なんっにもなかったわよ。無料で当たり前だわね」
「だろうな。俺も見たけどな」
「…遊んでたの?」
「いや…ちょっとな…」
山上は何やら言いにくそうに口ごもると、ちらっと颯介を見た。その視線に気付いたのか、颯介は少し横になると言って祐斗が寝ている部屋へと入って行った。
「…皆して秘密が多いって祐斗が怒ってたわよ。落ち着いたら話して貰わないと気が済まないって」
「祐斗がなぁ…まぁあいつだけだよな。きっと秘密がないのって」
うんと頷いたむつは、颯介のいれてくれた白湯を口にした。さっきまでは、もうもうと湯気が出ていたが、すでにぬるくなっていた。