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11話
「さて…祐斗は起きないけど、何があったかは分かったし、らせつちゃんを送らないとね」
「送る?」
「うん。だって…帰るでしょ?」
「うーん…」
何故だか歯切れの悪い返事に、むつはおや?と首を傾げた。勝手に出歩いてはいけないと言われていたのに、出てきているうえに、人間と一緒に居ると知られては、らせつが困るはずだ。だから、早く帰らせなければと、むつは思っていた。
「…帰りたくない?」
「………」
拗ねたように黙られると、本当に困ってしまう。子供の扱いの上手いはずの祐斗は、いまだに目を覚ます気配もない。
どうしたものかと、颯介と山上を見たが、こちらも困っているようで、どうにも出来ないと、ゆるゆると首を振っていた。