669/1090
11話
「嬉しい?」
「うん。だってね、祐斗はらせつちゃんを助けなきゃって思ったんだよ?自分が助かる事より、らせつちゃんを選んだの。かっこいいと思わない?」
「かっこいい?」
「うん…男らしいなって思うの。らせつちゃんは雪女で妖かもしれないけど…子供だよ?だから、自分より小さい子を守ろうとしたのって、かっこいいと思うんだ。見直しちゃったな…」
ふふっとむつが笑うと、膝の上に乗せられているらせつは、よく分からないと首を傾げた。
「そのうち分かるよ」
笑みを浮かべているむつは、らせつが無事で良かったとまた頭を撫でた。祐斗もまだ目を覚まさないが、無事であった。それが何よりも、むつは嬉しい。それに、何かあった時には颯介と山上が駆け付けてくれた事が、今は本当に嬉しかった。