11話
「あのね…むつがさゆきねぇさんを連れてった人間の仲間だって知って、うち怒ったの。でね、仕返ししようと思って雪で埋めちゃえって…でもね、うちの方にいっぱい来ちゃって。それで、あの人が、危ないって言って助けようとしてくれたけど…一緒に埋まっちゃったの」
らせつの説明は何とも分かりやすい。むつはそれを聞いて、それで2人が一緒だった事を知った。祐斗がらせつを守ろうとした結果、守りきれずに一緒に埋まったのを知ったむつは、ちらっと後部座席を見た。祐斗はまだ気を失ったままだ。
「それでね、雪が重たくなってきて耐えられないって言ってて、うちだけでも、今のうちに逃げろって。でも出来なくて…一緒に潰されちゃって、息が苦しくなってきて…」
怖かった、と呟いたらせつの頭をむつは優しく撫でた。祐斗が無理をして、小さな子供を守ろうとした事が嬉しくて、むつはにっこりと笑っていた。颯介と山上もそうだったのか、優しげな顔をしている。
「何で、むつ笑うの?うちのせいで…あの人、死んじゃう所だったんだよ?」
「でも、死んでないから。それにね…祐斗がそんな風に動いたんだって知って嬉しいの」