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11話
雪に埋もれていた祐斗は、何かを守るようにして丸まっていた。その腕の中には、小さな女の子が一緒だった。どちらも気絶しているようだが、呼吸はしっかりとしていた。山上が2人をまとめて抱き上げると、ほっとしたのかむつは座り込んだ。
「帰るぞ」
山上がざっくざっくと歩き出すと、むつは慌てて後を追おうとしたが、またすぐにぺたんっと座り込んだ。ほっとして力が抜けたのか、膝に力が入らない。それを見た山上は、何とも優しげに笑った。
「むっちゃんは俺が連れていきますよ」
「あぁ、むつもこういう時は女の子だな」
馬鹿にしている感じはなく、染々とした様子だった。こんな時だけ女の子らしくしたくないからか、むつは立とうとしがどうにも力が入らない。力の入れ方を忘れてしまったかのようだ。
「さ、むっちゃんは俺と行こうか」