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2話
「むつ、お前最後のは酷いぞ‼」
「だーって雪合戦負けたもん。仕返し」
「だからってなぁ…」
颯介がヒーターを出してくると、山上はその前に座り込んだ。じじっと音がして、焦げ臭い臭いがした。あまり使われず、掃除もしていなかったからかもしれない。
「でも、楽しかったもーん」
むつは山上の隣にくっつくようにして座り、ヒーターに手をかざしている。軍手を渡されていたのに、つけずに雪遊びに興じていたせいか、手は真っ赤になっていた。
「…むつさんの勝ちてましたね」
「あんな事して…やんちゃすぎだよ。社長、背中から暖めたらどうですか?シャツも乾くと思いますし」
お盆にマグカップを乗せてやってきた颯介と、菓子を持ってきた祐斗も床に座り込んだ。
「ね、颯介さん‼さっきの写真送って‼」
「はいはい。それよりも、むっちゃん携帯持っててくれないと…俺も寝坊するんだから」
「あ、寝坊!?珍しい…」




