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10話
気持ちが急くせいと、広範囲にわたって掘らなくてはならないからか、むつはそろそろ疲れも限界に達しかけていた。だが、管狐が教えてくれたのだ。無駄にするわけにはいかない。それに急がなくては、祐斗が本当に危ない。
どこには分かったが、どんな風に埋まっているのか分からず、むつは祐斗を踏んでいないか気にもなっていた。指にはもう力は入らない。手のひらで、どかしていくばかりとなっていた。
「…早くしなきゃ」
焦りもピークとなっているのか、じわじわと目に涙が浮かんできていた。このまま、祐斗とお別れなどはしたくない。そう思うが、もう間に合わないのではないかという気持ちも浮かび上がっていた。
「むつ‼」
「むっちゃん‼」