10話
「そう…らせつちゃんは雪だるまだったのか。どんな雪だるまだったのかしらね?きっと、可愛かったんだろうね」
今のらせつも可愛いから、とむつが誉めると恥ずかしそうな笑みを浮かべていた。ついさっきまで、むつの言葉に不機嫌になったというのに、すっかり機嫌は元に戻っているようだ。
「雪女は、山の神の子供のような物ってちかが言ってたけど…そういう事なんだろうね。雪だるまに命を与えて、冬を司る雪女にした。妖ってより妖精みたい」
ふふっと笑っていたむつは、なら雪だるまは止めようと言って、丸くしていた雪玉をぽんっと投げてた。
「教えてくれてありがとう。で、らせつちゃんはいつもは何して遊んでるの?」
「おねぇさんたちと一緒に居るだけ…まだお外は出ちゃいけないんだって」
「まだ小さいし、可愛いもんね。拐われちゃったら困るもんね」
5、6歳程度の子供を1人で外に出すというのは、人でも妖であっても、やはり危ないし心配になるものだとむつは、それが当たり前だと言ってた。
「ううん、違うの。らせつの上のおねぇさんがね、人と会ってね、一緒にどっか行っちゃったの。だから、らせつも今はお外に出ちゃダメって」