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10話
暗い中で何が出来るだろうかと、話をしつつむつはしゃがみこんで、せっせと雪玉を作り始めていた。
「むつ何するの?」
「雪だるましよっかなって。定番だし」
「えーやだ」
「何で?」
「らせつは妹いらないもん」
「………?」
雪だるまであって、それはらせつの妹ではないというのに、ぷいっと拗ねたようにそっぽを向いてしまった。ご機嫌を損ねたのだと分かったむつと祐斗は、理由が分からずに顔を見合わせた。ちらっとらせつを見たむつは、祐斗の方を向いて軽く顎をしゃくって見せた。理由を聞き出せ、という事らしい。渋々といった感じだが、不機嫌にさせたのはむつだ。祐斗が聞いた方が、答えるかもしれない。
「…えっと、らせつちゃん?ごめんね。どういう事なのか俺にもむつさんには分からないんだ。教えてくれるかな?」
らせつに視線を合わせるように、しゃがんだ祐斗が優しげに聞くと、らせつは唇を尖らせつつも振り向いた。