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10話
「…人、じゃないっすよね?」
「うん、雪女だと思うわよ。ただ、遊んでくれたら帰り道教えてくれるって言ってるし…」
「で、連れてきちゃったんすか?勝手に連れ出して見付かったら、怒られるどころじゃないと思いますよ?元の場所に返してきてください」
野良犬を拾ってきた子供を諌めるかのような言い方に、むつは思わず笑ってしまった。だが、祐斗の言っている事も分からなくはない。
さゆきという雪女を連れ出した凪の仲間だと、思われていないとは言い切れない。むしろ、一緒に行動していたのだから、仲間だと思われていて当たり前かもしれない。そんなむつが、今度はらせつを連れてきている。雪女たちの怒りに触れないはずがない。祐斗はそう言っている。だが、むつは落ち着いているのか暢気なのか、ひらひらと手を振りながら大丈夫と言っていた。
「ねーっ‼遊ぶ‼」
「おっけ。何して遊ぶ?」
駄々っ子のようならせつに、むつはくすくすと笑いながら、こうも暗いと鬼ごっこもかくれんぼも無理だねぇと呟いていた。