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10話
戻ってきたむつは、1人きりで戻ってきたわけではない。何故だか、見知らぬ子供を肩車している。
「む、むつさん…何で1人で行ったのに戻ってくる時には子連れになっちゃってるんすか?」
「子連れって言い方…誤解を招くから。確かに、子供を連れてきたけどさ」
疲れたような顔をしたむつは、苦笑いを浮かべつつ日本刀を雪に突き刺し、肩車していたらせつを、ゆっくりと雪の上におろした。
「怖くなかった?」
「大丈夫!!だって、むつはうちの事落ちないようにってしてくれたもん。ちょっと怖かったけど…」
「でも、らせつちゃんは高い所得意じゃないの?おねぇさんたちは、空を飛べるでしょ?」
「…おねぇさんたちは飛べるけど…らせつはまだ飛べないも?」
「ふぅん?大人になるにつれてって感じなのかしら?まぁいっか…祐斗、遊んであげて。あたしはちょっと休憩」
「えっ!?な、何でそうなるんすか…そもそも、この子は?え?ら、らせつちゃん?そう…」
らせつだよぉと得意気に名乗るらせつに、祐斗は苦笑いを浮かべながら、よしよしととりあえずといった感じで、頭を撫でていた。