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10話
帰りは自分たちの足跡をたどればいいからと、むつは管狐を肩に乗せていた。ちかげがしたように、来るときに踏んだ雪を再度踏んで進んでいるから、かなり楽だった。そして、当然のように帰りの方が早く感じるはずだった。
来た道は分かっているし、どのくらいの距離を歩いたかも分かっている。だが、なかなか平らな道には行き着かない。額に浮かんだ汗をぬぐったむつは、眉間にくっきりとシワを寄せて空を見上げた。
「…ヤバいわね」
「どうヤバいんすか?」
いつまで経っても、景色が変わらず道が平らにならない事を祐斗も、おかしいと思っていたのだろう。むつの顔を見て、本当によくない状況なのだろうと察しをつけたようだ。