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10話
「成る程…好みは人それぞれって事ね」
「むつは顔で判断…してたか。確か、西原には一目惚れだったな?タイプなんだろ?」
「わーっ‼ばっか‼なっ、何で…そ、そんな…うるさいわよっ‼言うなし、ばかっ‼」
「まずい事だったか?」
祐斗が居る前で、そんな事を暴露されるなどと重いもしなかったむつは、耳まで真っ赤にしていた。泣き笑いのような顔をして、むつが祐斗を睨んだが、祐斗はにこにことしている。
「内緒にしておきますから大丈夫ですよ」
「もう…こんな所で、そんな事を知られるはめになるなんて…可能性の1つを提示した結果がこれとはね…酷すぎる‼」
「な、わ…悪い、悪かった。でも、一目惚れも悪い事じゃないだろ?それは本能ってやつだ…だから…な?」
「何が、な?なのよっ‼」
「…俺だって一目惚れくらいしたぞ?」
「いつ、誰によ!?」
「昔、むつに」
「………」
思いがけない告白に、むつは何も言えずに固まっている。祐斗もそんな展開になるとは思ってもみなかったのか、ただただ驚いている。