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2話
むつと祐斗が、かまくら作りに専念し始めると、颯介と山上はそんな2人を見守るように、少し離れた所で立っていた。
「…3人で雪遊びですか?」
「あぁ。誰かさんが連絡もなしに遅刻するからな。うちの娘と息子が落ち着きなくてなぁ。何かやらせとかねぇと、うるせぇんだ。でも仕事ねぇだろ?だから仕方なく、気晴らしに雪合戦してたんだ」
「あ…すみません。2度寝しちゃいまして…事務所には電話したんですが、誰も出なくて。携帯も誰も出なかったんですよ」
「携帯にも?音量上げといたんだけどな…」
山上は、ぱたぱたと上着やズボンのポケットを叩いていく。だが、携帯は見当たらない。
「…うん、携帯は事務所だな。たぶん、むつと祐斗もそうなんだろうな。つか、むつの奴…軍手渡したのに素手じゃねぇか」
「社長も素手じゃないですか」
「ははっ…年甲斐もなく本気で遊んだな」
ポケットにタバコは入っていたようで、くわえると火をつけて煙を吐き出した。




