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10話
「操ったり、力を与えたりする変な能力を持ってる子が居るのよ。きっと何かを憑依させて…って感じなんだと思う。あたしもまだ詳しくは知らないけど…でもね、何かあって豹変したんなら…」
「その子供が思い付いたってわけか…可能性としてない事もないだろうけどな」
「確信はない。それに他にもそういう術者が居るって事は大いに有り得る。でも、あたしが知ってるのはその子だけだから…」
「その子供が思い浮かんだわけか。特徴は?」
「背の低い可愛らしい顔の子と背の高い…あいつは強かった。その2人連れ。背の高い方が、従者って感じだったわね」
何を思い出したのか、むつの片頬がぴくぴくっと動いた。余程、気に入らない何かがあったのかもしれないが、むつはそれを言おうとはしなかった。
「戦ってみたのか?」
「菜々の所でね…子供にはびんたして泣かせて、背の高い方とは斬り合った。向こうは片手だったのに、あっさり負けちゃった」