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10話
「…何とならその情報交換するんだ?」
「しない」
相手が喋り終わらないままに、むつがきっぱりと答えると祐斗は、うわっと声を上げていた。むつもだが、いつの間にか来ていた男、噂をすればのちかげとの間に不穏な空気が流れる。今にも火花が、目に見えそうな雰囲気に、祐斗はそろっと尻を浮かせていた。いつでも逃げれるようにするためだ。
「情報との交換なら応じるか?」
「どんな情報よ?」
「雪女とよろず屋の2人の居場所だ」
「うーん…移動する可能性が高いから、宛にならない情報はいらないかな」
「…確かにそうだな」
あっさりとちかげは頷いた。座っているむつを見下ろしていたちかげだったが、しゃがみこむとむつと目線の高さを合わせた。