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10話
「えっと…じゃあさゆきって雪女は何かに操られでもして、おかしくなってるって事ですか?」
「あたしはその可能性が濃いと思ってる」
「他にも理由ありそうっすね?」
ふうと息をついたむつは、ごんっと木に頭をぶつけるようにして寄り掛かった。こつん、こつんっと軽く頭を打ちながら、むつはうーんっと言っている。
「ちかの行動がどうにもねぇ…」
「腑に落ちないんすか?」
「落ちるわけないでしょ。あいつ…何がしたいんだか。だって、わざとらしくカメラに映ってみたり、あたしの所に来たり…それにさ、何ですぐに雪女を追わなかったのか。いくらサポート役っても、後からのんびり行けばいいわけないでしょ?何かあった時のサポート役よ?」
口には出さないが、むつは色々と考えていたようだ。その考えを言わないから、祐斗は振り回される事になっている。むつにはその自覚を少しでも、持って貰えたらと祐斗は思っていた。