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10話
管狐は慣れた様子で、雪の上を進んでいく。それが、だんだんと平坦な道から斜面へと変わっていった。
「まぁじか…」
気温は低くとも、動きっぱなしで息は上がってきているし、暑くもなってきていた。むつはマフラーをゆるめて、コートのボタンも外している。額には、うっすらと汗さえ浮かんでいた。
「本当に…体力戦っすね」
「自信なくなるなぁ。こんな時に、ちか達に出くわして襲われたら…襲われる前に降参するしかないわね」
「って、俺たちはちかさんと戦う前提なんすね」
「だって、三つ巴だもん…いや、四つかな?」
いつの間にか、増えてると祐斗は呟いていた。誰がどう絡んでくるのか分からない事態に、祐斗はもうただ歩くだけになっていた。疲れきっていて、考えるゆとりもない。それもそれも、むつが後から説明してくれるだろうと、無いに近い期待をしながら。