10話
「で、むつさんは湯野さんと社長よりも先に凪君の事…雪女をどうにかしようと決めたんですね?」
「ってよりも、それを探せば皆居るよ」
そうだと決めつけるようにむつは言った。
「その自信はどこから?」
「だってさ、雪女が事の発端だもん。その周りに集まってくるわよ…凪君も颯介さんも社長もちか達もね」
最後に言ったちかげ達は、来なくてもいいのだがと祐斗は言いたかったが言えなかった。どうあがいても、彼らは来るだろう。それも敵方として。
「むつさんは、その雪女については、どう考えてますか?やっぱり妖だから人を襲うとか…ですか?」
「凪君の話だとさ、うちに連れてくるまでに何回かは正気でも居たんじゃないかなって気がするのよ。だって、居なくなったら連れ戻してって、してたんならね」
「…あ、そっか。凪君は力もなさそうですもんね。むつさんが押されるような妖を、力付くで従わせる事なんて出来そうにもないですよね。他に何か方法を知ってたんなら別ですけど」
「そんな方法はなかったと思う。ちかに助けられた時、雪女が倒れるまで人は出てきてないもん。雪女を大人しくさせたのもちかだったし」
「って事は…?」