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10話
ようやく、小道を抜けると広い所に出た。だが、そこには大きな家がぽつんとあるだけで、四方は木々に囲まれていた。そして、よく見れば車が通ったようで雪がない道もある。
「…わざわざ雪のある道を選んだのね」
むつが何でこんな苦労をと、じろりも管狐を見た。だが、管狐はこのくらいでは、びくともしないようだった。祐斗であれば、たじろいでしまうというのに。意外にも肝が据わっているのかもしれなかった。
「で、ここが颯介さんのお家か。まぁまぁでっかいわね…それに古そうね」
「かなり古そうですね。人が住んでるから保たれてるって感じがしてますよ」
「うん…しっ‼」
タイヤの溝が出来ているから、人も居ないと思って話していたが、家には誰か居たようだった。突然、がらっと窓が開いた。