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10話
「むつさん、昔からの物って…」
「妖と人が共存してるのよ。うーん…これなら社長がこっちに来るのも納得かもしれないわ。社長は…さて、どっち側につくのかな?」
ふふっとどこか楽しそうに笑うむつを見て、祐斗は眉間にシワを寄せていた。山上がどちら側につくも何も、山上は社長であるのだから、よろず屋であるむつと祐斗側。颯介の味方なのではないのか。祐斗は、むつが考えている事がさっぱり分からなくなっていた。
どことなく今の状況を楽しんでいるかのようなむつだったが、再び辺りを見回した時には笑みはすっかり消えていた。その代わりに、険しい表面をしていた。
「…管狐、颯介さんのお家確認したら、凪君が雪女と会ってた場所に案内してね」
少し低くなったむつの声は、やや緊張感をはらんでいる。それにどことなく、急いでいるようでもあった。