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2話
「だいたい祐斗なぁ‼むつに似てきたんじゃねぇのか!?俺にそんな反抗的な…お父さん泣いちゃうっ‼」
「むつさんに似てきたなら誉め言葉ですね‼」
めそめそと泣き真似をするような山上に、祐斗は容赦なく雪玉を投げた。
「それにっ‼こんな時にしか社長に向けて、こんな事…出来ませんからね‼」
「節分の時だって、散々やってきたくせに‼何を言ってやがんだ‼くっそ…」
太刀打ち出来ないと分かってか、山上は完全に逃げる方に回った。意外と素早い動きではあるが、雪に足を取られているのがよく分かる。
祐斗が勝ったと言わんばかりに、ぶんっと山上に向かって雪玉を投げた。山上はもう当たりたくないと、さっと避けた。すると、タイミング悪くもこんな天気だというのに、人が角を曲がってやってきてしまった。
「あっ‼」
「危ないっ‼」
むつの声と祐斗の声が重なった。だが、歩いてきた人物はまさか雪玉が飛んでくるとは思ってもみなかったのか、ぼすっと顔面で受け止めていた。




