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10話
管狐に案内されるままに、ついていっている2人だが、駅から離れてだんだんと雪が深くなってきている事に気付くと、少しばかり不安になってきていた。
道路だけは車が通るのか、雪は少ない。だが、人通りはないのだろう。歩道に積もっている雪は、むつの背丈とさほど変わらない。
「…何だろ?雪が積もりすぎてるせいなのか、昼間なのに暗くない?」
「そうですね。今は雪も止んで、空は少し明るくなってきてますけど…暗くですね」
「ねー…管狐、本当にこっち?」
駅を出てから、車は通らないし人も通らない。雪ばかりが深くなっていく事に不安な様子を隠せないむつは、先を歩く管狐に声をかけた。管狐は振り返るものの、立ち止まりはしない。短い足で、ちょこちょこと進んで行ってしまう。ついていくしかないむつは、少し不満そうではあったが、大人しく管狐の後に続いていた。