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10話
主の言う事しか聞かないはずの管狐だったが、家に帰りたいのか、むつたちを案内するのはついでだとでも思ってか、ちょこちょこと歩きながら、時おり後ろを振り向いて、むつと祐斗が来ている事を確認していた。
「…むつさんの言う事、聞くんですね」
「仲良くなれたからか、凪君を主として見なくなったのか…後者だとまずいわね」
「湯野家の跡取りだからですか?」
「うん…だって、能力的には颯介さんの方が上で、それに加えて管狐に見限られたってなると…さらには、幼馴染みの雪女まで消えちゃったら、彼はどうなるのかしらね」
「消えたらって…」
「ちか達が手加減するはずないもの。だから、先に雪女を見付けた方がいいのかも…」
「湯野さんと社長は後回しっすか?」
「そもそもは、凪君の依頼が事の発端だよ?社長まで消えた理由は分かんないけど…いや、どうかな…分かる気もするかな」