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2話
「おいっ‼祐斗、てめぇ…っ‼少し玉固く握りすぎてねぇか!?いてぇよ‼」
「作ったのはむつさん、ですっ‼」
ぶんっと投げた雪玉を避けるにも、玉は意外と早い。それに、祐斗の足元にはストックが沢山あるが、山上の所には1つもない。なかなか反撃が出来なく、少し慌てだした山上ではあるが、降参するはずがない。
「おまっ‼わけぇくせに社長の俺に本気でっ…いってぇ…敵うと思うなよ‼」
「散々、女の子に一方的に攻撃しといて…何を言ってるんですか‼敵討ちを頼まれたんで‼俺はっ…と、引きませんから‼」
祐斗と山上のやり取りと本気の雪合戦を眺めながら、むつはのんびりと雪玉を転がしていく。雪は積もったとは言えど、ふくらはぎの辺りまでだ。それでも、これだけ積もるのは珍しい。むつは雪合戦と雪玉作りで、浮かんできた汗をそっとぬぐった。




