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9話
横になっているうちに、眠りについたむつは自分でセットしたアラームが鳴る前には目を覚ました。起きると、祐斗がベッドの端で丸まって寝ていた。そんなに離れなくても、と思ったむつは布団をしっかりとかけてやると、そっとベッドを抜け出した。しっかりと髪の毛を乾かさなかったせいか、ぼわっと膨らんでいて直すには少し時間がかかりそうだった。
丁寧に毛先から櫛を入れて、寝癖を直し終えたむつは、祐斗が起きる前に着替えた。着替えは多く持ってきているが、足りるだろうかと気になった。ここでクリーニングを頼むのは、とても無理な気がしたからだった。だが、今日から本格的に颯介と山上を探しに行くのだから、ホテルに戻ってこれるかも分からない。荷物も、このままでいいか分からない。やはり、車をレンタルしようかとむつは考えていた。
回しっぱなしの換気扇の下に行き、タバコを吸い始めると、起きたのか管狐が慣れた様子で肩の上にのぼってきた。
「おはよ…今日からは凪君探そうね」
小さな額を指先で撫でてやり、むつはそう言うと、溜め息と一緒に煙を吐き出した。