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9話
取り出した携帯をいじりながらタバコを吸い終えたむつは適当な感じに鞄を置くと、日本刀と小さなショルダーバッグに財布とハンドタオルを移して、肩にかけた。
「…資料館があるみたいなの。先ずはそこからだね。何かあるといいんだけど」
「そんなの、あるんすか?」
「駅からは少し遠いけどね…ほら」
手にしていた携帯の画面には、郷土資料館の地図が出ていた。携帯を取り出して、いじっていたのはこれを探していたからか、と祐斗は納得した。
颯介の様子がおかしいから、山上と連絡つかなくなったからと落ち着きなかった時のむつは、もうどこかへ行ってしまっているようだ。今はしっかりと落ち着き、自分の出来る事を確実にしていこうとしている。祐斗もそんなむつの姿勢は、見習わなくてはいけないなと、気合いを入れ直していた。
「さて…タクシー使わずに公共交通と徒歩で町を見ながら行くわよ」
「はいっ!!」
祐斗が元気よく返事をすると、むつはにっこりと笑みを浮かべていた。