551/1090
9話
タバコを吸いながら、携帯を見ているむつは、溜め息を漏らしていた。
「どうかしましたか?」
「先輩にね、社長に電話してみてってお願いしといたの。やっぱり、電源入ってないって」
「何で西原さんに?」
「もしかしたら電源入ってるかもしれないでしょ?あたしからの電話が嫌でも、先輩からなら出るかなって思ったけど…」
「結局は電源切ったままって事ですか」
「そうみたいだね…」
西原にメッセージを送ったのか、むつは携帯をポケットにしまった。ここ最近は、いつにないくらいに携帯を確認するむつは、やはり落ち着きがないのかもしれない。今しまったばかりの携帯をまた取り出して、画面を見ては溜め息を漏らしていた。