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9話
「…ま、祐斗が大丈夫なら大丈夫ね」
「…宮前さんと西原さんには絶対に言わないでくださいよ‼殺されちゃいます」
「ベッドの話じゃないって…部屋の様子よ」
「あ…」
苦笑いを浮かべるむつを見て、祐斗は少し赤くなっていた。むつは端から同じベッドで寝る事は、何とも思っていないようだったが、1人だけ意識していた事が恥ずかしい。それと共に、意識されていない事に、少しがっかりした。だが、仕事で来ているのだから、そんな意識をするのもおかしいのかもしれない。
「へ、部屋は…大丈夫そうっすね。何も視えませんし…きれいな感じっすよ」
「なら、いいや。ここで決定ね。さて、ちょっと一服だけさせて…そしたら、出発しよっか」
「ご飯っすか?まだ早いんじゃ…」
「おバカ…遊びじゃないんだから。昔から、雪女が居る土地なら何か言い伝え的なのあるかもしれないでしょ?それを探しに行くわよ。ついでに、湯野家についても調べるの」
「あ…はい」
観光気分になっているのではと、むつに疑われていそうだな、と祐斗はまた顔を赤くしていた。