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9話
「むつさんっ‼ホテルでこんな緊張感嫌っすよ‼やっぱり、少し遠くても違うホテル探しませんか?」
「…でも、何も居ない気がする」
廊下を歩きながらむつが言うと、嫌々ながら後をついてきていた祐斗は、はっとしたような顔をした。そして、きょろきょろと辺りを見回した。
「そう…っすね。沢山居るかと思ったんすけど…何も居ませんね。ってか、寒気がしてたのに…何か平気になりました」
「うん。入り口だけ変なのかしら?まぁ、とりあえず部屋を見てみよっか」
渡された鍵に書かれている番号の部屋まで行ったむつは、躊躇う事もなく同感だと開けた。