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9話
ほとんど寝る事の出来なかったむつは、眠ったそうな顔のまま西原に荷物を持って貰うと、駅まで向かった。新幹線の通っている駅まで、送ると言ってくれた西原の言葉に甘えて、ふらふらと歩いていく。
「…お前がしっかりしとかないと…不安だな、お前と祐斗君で行かせるなんて」
「祐斗がしっかりしてくれるから」
ふぁふぁと欠伸をしながら、むつは眠ったそうに目を擦っていた。まだ朝が早い時間だからか、電車の中は空いていた。だが、寝てしまいそうだからとむつは立っていた。むつなりに頑張ってるな、と西原は笑みを浮かべながら思っていた。
電車を降りた西原は、すごくゆっくりした足取りのむつの手を取って、迷子にならないようにと新幹線の切符売り場まで向かった。こんな状態で、颯介と山上を探しに行けるのかと心配になるが、仕事の一部であるから、行かせるしかない。むつは眠そうだが、しっかり寝れたのか、むつの胸元に居る管狐は元気そうだった。