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9話
「あ…初発5時だわ…これに乗ったら、昼頃には着けるわね。起きれる?」
『ご、5時っすか…ってなると、遅くても3時起きで…って、移動手段ないっすよ?』
「あ、そっか…じゃあ…6時のやつだね。電車が動くのも5時頃からだし…うーんっと…」
西原の携帯で時刻表を確認しながら、祐斗と打ち合わせをして時間を決めていっている。洗い物を済ませた西原は、むつの声を聞きながら、やはり仕事の時とプライベートの時では、声のトーンも違うよなと感じていた。
打ち合わせを終えたのか、おやすみと言うむつの声が聞こえた。それが、やけに優しい声だったからか、西原は何となくむつの方を向いた。
「…時間決まったか?」
「うん。初発じゃ無理だから、6時の新幹線になったよ。明日は…4時半起き?起きれるかしら?」
「起きろよ」
「起きるわよ‼もうお風呂入って寝なきゃ…先輩、洗い物ありがと。先輩も早起きだからね」
「…頑張ります」
何故か西原が敬語で言うと、むつは笑いながら頷いた。そして、風呂に入ってくると言って出ていった。