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2話
「お前らな、雪だぞ?雪。子供は雪降ったらはしゃぐもんなんだからな。ほれ、上着着ろ」
しっしと追いやられるようにして、むつはキッチンから押し出された。手にしていたタバコを慌てて揉み消すと、よく分からないと言いながらも、顔には笑みが浮かんでいた。そして、祐斗と共にぱたぱたと倉庫に入っていき、すぐに上着を持って戻ってきた。
「寒いからな、ちゃんと上までチャック上げとけよ?って、むつそのコートはおニューか?」
ファーのついている上着を見た山上が言うと、むつはこくこくと頷いた。
「そうか、可愛いじゃんか。俺は、そういうの良いと思うぞ?似合うな。お前、見ようによっては童顔だからな。でも、仕事の時にはやめとけ。急に依頼が入って出先で汚したら嫌だろ?と、ちょっと待ってろ。えーっと…」
キッチンから出た山上は倉庫に入っていくと、ごそごそと何かを探しているようだった。




