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9話
『あ…そうっすか?仲良しっすね。で、このまんま泊まりって事ですか?』
「ん、まぁ…ね。先輩、ロック解除して」
祐斗と電話しながら、むつは西原に向かって携帯を見せた。西原は手をふくと、ロックの解除をして後は好きに使えとでも言うかのように、洗い物に戻っていた。
「んーっと…ちょっと待っててね」
『はぁ…むつさん?』
「ん?」
『西原さん、むつさんがまたどっか行くのが不安なんじゃないんすか?だから…』
「…それはお節介だよ?祐斗が気にかけてくれてるのは嬉しいけどね。大丈夫だよ。その程度で揺らぐ信用ならない方がマシじゃない?」
『はい…すみません』
「ううん…ありがと。でも、祐斗にまで心配されてるようじゃ…」
先輩もダメよね、と本当に小さな声で言ったむつは苦笑いを浮かべながら、タバコを揉み消してリビングに戻っていった。