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9話
祐斗には迷惑かけれない、と呟いていたむつは、気掛かりな事があるかのようにテーブルを見た。
「あっ‼」
ちかちかと携帯のらんぷが点滅しているのに気付いたむつは、すぐにソファーから下りて携帯を掴んだ。音量は上げていたというのに、気付かなかったのは何故だろうかと、舌打ちを鳴らしていた。
「…メッセージか」
電話じゃないから、気付かなかったのかとむつは少しがっかりしたような溜め息を漏らした。
「山上さんからか?」
「…噂をすればの祐斗だったよ。社長と颯介さんからの連絡ありましたか?だってさ」
「で、その2人からの連絡は?」
「いまだになーしっ。って…日付変わってるじゃん…先輩、泊まってく?」
「…いいのか?」
「何もしないならね」
「ちっ…」
西原がわざとらしく舌打ちを鳴らして少しうつ向くと、その叩きやすい額をむつはぺちんっと叩いて、くすくすと笑った。