9話
「…うん」
「俺はさ、ちゃんと聞いたわけじゃないけど、こさめさんって人じゃないんだろ?でも篠田さんと付き合ってる…んだよな?あの2人って」
「付き合ってる…かな?そう言えば、ちゃんとそう聞いた事はないや。でも一緒に生活はしてるね」
「ちょっと曖昧か…まぁいいや。で、その篠田さんは…変だけどさ。怪奇現象大好きってのもあるんだろうけど…だから、こさめさんと居られるってのとはまた違うと思うんだよな。こさめさんの事、篠田さんはちゃんと好きだから一緒に居るんだよ。こさめさんが人じゃなくても…それってな、俺もそうだから」
むつが少し困ったように首を傾げながら、西原を見上げた。言葉が足りないのか、伝わっている感じがいまいちしない。
「だから…さっきも言ったけど…むつが例え、人じゃなくても…俺はむつの事が好きっていうのに変わりないんだって」
「そんなの…分からないでしょ?気持ちは変わるものだよ?」
「確かにそうだな。でも、能力あって自分とは違うからって、むつを嫌いになんてなってないぞ?それに、篠田さんに出来てる事が俺に出来ないはずもない」
「…普通じゃないって言ったくせに」