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9話
元々、目力のあるむつが真剣に西原の目を見てきっぱりと言い切ると、西原はそういう事じゃないけどな、と軽く首を振った。
「…で、酒井さんとは?今は?」
「んー?今度、ゆっくり時間出来たら会うよ。玉奥の家のお墓…あたし知らないのよ。だから、教えて貰ってさ…今まで何もしてこなかったけど…お墓参り行きたいから」
「そうか。それは行かないとだな。で、お前さ…酒井さん懐かしい感じするとか言ってただろ?やっぱり、昔から知ってた人だったのか?」
「んー…」
玉奥家から宮前家に引き取られた際に、一緒にきたのだとはむつも言っていいのか分からない。それを言うとなると、酒井が人ではないという事もちゃんと言わなくてはならなくなる。
「…人じゃなかったんだろ?」
「え?」
そんな事を口走っただろうかと、むつは気になった。かまを掛けられている感じもなく、むつは頷いた。