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9話
出来上がったのは、スープではなく味噌汁で、冷凍してあったご飯には胡麻と刻んだ葱を足して、軽く焼いてある。そこに、大根の葉の漬け物も添えられると、しっかりとした夜食が並んだ。
「…こんだけちゃんとした夜食作って貰えるなら、毎日来ようかな」
「それは、やめて」
「でも、毎日でも会いたいぞ?」
恥ずかしがる事もなく、西原がさらっと言ってのけると、味噌汁をすすっていたむつが、ぴたりと動きを止めた。
「…黙るな。フリーズすんな」
肘でつつかれたむつは、ゆっくり西原の方を向いた。その顔は、暑くもないのに少し赤くなっていた。
「こっちが恥ずかしくなるから照れるな」
「じゃあ言わないでよ」
「…思った事は言っておかないとな。いつ会えなくなるか、死ぬか分かんないだろ?」
「もう巻き込むようなへましない」