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8話
「あーぁ…噛まれてやんの」
「いっ…ってそんなに痛くないけど」
「あら、良かったじゃない。あたしの時は、そこそこ痛かったもん」
「そういう問題じゃないと思いますけど…でも、管狐?もしかして、少し怒ったのか?俺が疑ってるから」
「そうなの?」
手を伸ばして管狐を抱き上げたむつは、管狐の鼻先に自分の鼻を押し付けている。管狐はじっとむつを見て、こくりと頷いた。
「あーんっ‼可愛い‼祐斗が意地悪でごめんね?管狐はちゃんと分かってて教えてくれたのにね。あいつ、悪いやつだ」
ぐりぐりと鼻を押し付けながら、むつは管狐を誉めている。むつとて少しは疑いの目を向けたというのに、悪いのは祐斗だけのようにされていた。




